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同刻、油小路
「——っとによ、これじゃあ土方さんの思惑がバレバレじゃねぇか。」
「まぁ、あの人らしいっちゃらしいけどな。」
小路の陰に隠れるのは新選組の永倉と原田であった。
その二人の目の先にある小路の真ん中には、元新選組参謀伊東甲子太郎の亡骸が横たわっていた。
「だがよ、土方さんも本当に鬼だよな。伊東の野郎を餌に御陵衛士を釣るなんて。」
「あの人の鬼っぷりは今に始まった事じゃねぇだろ?それに、この方法は効率的だと俺は思うぜ?」
クククッと笑う原田に永倉は飽きれた目を向け、再び口を開いた。
「本当にあの人は策士だよ。」
「だが、甘い。」
「あぁ、そうだな。だけど俺らも甘ぇんだな、これが。」
「第一、土方さんに“平助を逃がしてやれ”なんて言われたら従うしかねぇだろ。」
伊東の亡骸で御陵衛士を釣って殺せ。と命が下ったが、永倉と原田にはコッソリと「上手いこと平助を逃がしてやれ。」こう伝えたのだ。
鬼の副長として厳しくある彼だが、試衛館時代から長い付き合いの藤堂だけはそうはいかなかったようだ。
鬼だと言われるが、奥に秘めるものはとても温かなものなのかもしれない。
「———来たようだぜ?」
「——みてぇだな。」
永倉は刀を抜き、原田は槍を構えると同時に叫んだ。
「「かかれぇ!!」」
こうして戦いの火蓋は切られた。



