幕末怪異聞録



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お昼を過ぎた頃、時雨は散歩がてら買い物に行こうかと腰を上げた。


「総司~?」


部屋の前で声をかけるも返事がないため、そっと襖を開けると、沖田は火鉢のそばでスヤスヤと寝ていた。


(——こうして見ると、新選組の一番組組長には見えないよな~。)


時雨は起こさないように押入れから布団を出し、沖田にそっとかけた後、小さく声をかけた。


「しばし買い物に行ってくる。ゆっくりお休み。」


ポンポンと優しく頭を撫でた。

それは母親が子にするそれと同じ様だった。



ガラガラ……ピシャッ…!



「——時雨の前だと僕が子供みたいだな……。」


寝ていたはずの沖田はポツリと呟き、布団に包まり再び眠りに落ちた。




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一方時雨は……


大通りをのんびり歩いていた。


外は晴れ渡り、気分がよかった。


(やはり総司も一緒に来れば良かったな……。)


などと思いながら野菜を見ていた。


八百屋の店主が物珍しそうに時雨の髪を見ていたが、当の本人はそんな好機な目にも慣れているため気にせず買い物をしていた。