幕末怪異聞録




部屋を覗くと沖田と山崎は何やら話し込んでいる様子であったので時雨は掃除に取り掛かった。


庭先や玄関先など目に付く所は割と綺麗にしているが、棚の上など目に付かない所には埃が溜まっていた。


だから、とりあえず拭き掃除をしようと桶を持って井戸へ向かった。


すると部屋の横を通る時に中から声が聞こえてきた。


「——やっぱり今日なんだ。」


「はい…。二番組と十番組が行かれる様です。」


「新八さんと左之さんか……。何となく二人が選ばれた理由が分かるけど、本当にそうだったらやっぱり爪が甘いな~。あの人は……。」


(——ん?何の話だ……?)


足音を消し、そろりと部屋に近寄ると話は聞こえなくなってしまった。


話は終わったのかと井戸の方へ向かおうとしたらスッと襖が開いた。


「ええ趣味してんなぁ。」


出てきたのは山崎だった。


「……何の事だ?」


「盗み聞き……しとったんやろ?」


ニッコリと笑う山崎に時雨は軽くため息をついた。


「今通りがかっただけだから話の内容は理解できない。それよりも、聞かれちゃまずい話を外に聞こえる程の声で喋るな。うっかり聞こえた私が殺される様な事になっては困るからな。」


「俺は困らんで?」


「ったりめぇだ!困るのは私だ阿保!」


バシッと山崎の頭を叩いた時雨は、フンっと踵を返し走って井戸の方へ向かった。