「——さて、私は掃除でもするか…。この家本当に掃除していたのか?些か埃っぽいぞ?」
膳を下げ、洗い終わった時雨が居間へ戻ると火鉢の前で沖田は背中を丸めていた。
「んー…。一応してたよ。だけど隊士はみんな男だし、雑だから埃が残ってるのかもね。」
「なるほどな。だが、お前の療養の為の家なのに埃を残すなど言語道断だ。一体隊士共は何を考えているんだ。」
腕を組んで軽くため息をついた時雨。
そんな時雨を見て沖田は笑った。
「まるで女版副長だね。みんなに喝入れていったら“鬼の時雨”って呼ばれるようになるんじゃない?」
「……女版副長とは不本意だな。だが、些か恰好良いな。“鬼の時雨”…か……。うん、悪くない。」
そう言って時雨は何故か照れていた。
(——前々から思っていたけど時雨って少し変わってるよな…。)
と内心思っていた沖田。
「私は総司の姉上に似ていたり、土方に似ていたりするのか。色んな人に似ているな。」
「姉上も、土方さんも誰かの為に厳しく諭すことができる人だから、少し似ているのかもしれない。まぁ、もっとも土方さんの場合は裏があるんじゃないかと思って素直にいう事聞けないんだけどね~。」
「ははは!(憐れだな土方。)」
目を細めて笑っていると玄関が開く音がした。
「お邪魔しまーす!沖田さーん!いらっしゃいますかー!?」
時雨は慌てて玄関に向かった。
「はいはーい。どちら様ですか?」
玄関にいたのは薬箱をしょっている一人の男だった。
「お久しぶりです。山崎烝です。」



