「えっと……。総司の家?」
「んー。厳密に言うと僕の家じゃなくて近藤さんの妾宅に僕が住んでるの。」
「何でだよ。あんた今さっき屯所で自分の部屋に戻っただろ。」
意味が分からんと言いたげに時雨はため息をついた。
そんな説明不足な沖田に代わり、土方が訳を話しだした。
「つまりだ、総司は最近病が酷くなってる。目に見えてな。
前、医者に埃っぽい処で生活していたら治るものも治らんと言われてな、こうして綺麗な処に住まわしてんだ。
だが、総司は此処を抜け出して屯所に来やがる。だから屯所の方にも部屋はあるんだ。」
最後に沖田を睨んだ土方。
話を聞き終えた時雨は、少し考えて顔を引きつらせた。
「おい、まさか此処で総司の世話をしろと言うんじゃないだろうな?」
怖いくらいにニッコリと笑った土方は頷いた。
「隊士に世話をさせてたんだがな、総司がそれでは不服だと言っててな……。お前、家事できるだろ?」
「時雨、よろしくお願いします。」
どうやら時雨には拒否権がないらしい。
それに、時雨も総司の笑顔を見ていたら断れなかった。
(土方め、中々の策士だな……。あえて総司を連れて来たな……。)
そして、土方は出て行く際に時雨にこう言い残した。
「家事だけじゃなく、総司もちゃんと見張っとけよ。」
時雨は「はいはい。」と半ば諦めたような返事をしたのだった。



