幕末怪異聞録



その言葉に時雨は些か驚いた。


「あぁ、病の原因は妖ではないのかと思って見ていた……が、それをお前が見抜くとはな、少し気持ちが悪いぞ。」


「馬鹿言ってんじゃねぇ!

まぁ、その様子じゃあ妖はいなかったみたいだけどな。」


「二人の会話聞いていたら夫婦みたいですよ。」


「「誰が夫婦だ。」」


沖田の茶々に土方と時雨は息ぴったりにつっこんだ。


「——土方が夫だなんて、何かの罰か?」


至極嫌そうに言う時雨に土方も嫌そうな表情を浮かべた。


「それはこっちの台詞だ。お前を妻にするより醜女を妻にする方がましだ。」


「確かに般若と醜女。なかなかお似合いじゃねぇか。」


「誰が般若だ。」


「てめぇだ、般若。」


「……。

怒ったのか?」


「……。

ふんっ!」


「「——!?」」


ムッとムクれた時雨は、少し頬を膨らましてぷいっとそっぽを向いてしまった。


沖田、土方、二人とも同じ事を思っていた。


(な、何だこの可愛い生き物は!)


二人とも時雨の滅多に見せない表情にやられていた。