すると、時雨はチラッと襖の方に目をやった。
「——そんな所にいつまでいる気だ?治るもんも治らんぞ?総司。」
「何!?」
時雨の言葉に土方はギョッとして、慌てて襖を開けた。
「やっぱり時雨は気付いてたんだ。」
ちょこんと座り込み、中の様子を伺っていた沖田がいた。
ヘラヘラと笑う沖田に土方はゲンコツを落としたのは言うまでもない。
「——てめぇは大人しく部屋で寝ることもできねぇのか!!」
「だって土方さんばっかり時雨を独り占めするのはズルいですよ。」
「こいつは俺に用があって来てんだ。遊んでるわけじゃねぇ。」
「ねぇ、時雨~」
土方の話もろくに聞かず、沖田は部屋へ入り込み、時雨の横に座った。
「おい、総司!てめぇいい加減にしろよ……。」
そんな沖田の襟首を掴む土方の顔は、般若と化していた。
「土方。総司はこのままでいい。総司の様子も見に来たからな。」
「そうか。」
手を放した土方は、二人の前に座った。
時雨は、沖田をじーっと見て、身体全体を隈なく見た。
そして、はぁっとため息をつき頭をかいた時雨は少し残念そうだった。
そんな様子を見兼ねた土方は声をかけた。
「妖が付いていないか見ていたのか?」



