幕末怪異聞録



「どんな情報だ?」


表情からして悪い情報ではないと感じた狼牙は少し身を乗り出し、時雨に詰め寄った。


コンも先ほどの不安など消し飛び、明るい表情で時雨の言葉を待っていた。


ところが、時雨はその表情とは裏腹なことを口にしたのだ。



「ーー龍馬の暗殺の情報は本当らしいぞ。」


「笑顔で言うことじゃねぇ!!」


的確かつ短的にツッコミを入れた狼牙だが、暴君時雨にギロリと睨まれ、

「話は最後まで聞け。」

と言われてしまっまのだ。


しゅんと、ヘコみながら狼牙は眉尻を下げた。


そんな狼牙に気遣う時雨ではないので、完全に無視して話を進めた。


「一月程前、大政奉還があっただろう?どうやらそれで龍馬は多くの敵を作ったらしい。
暗殺を目論んでいるのは、薩摩か?

誰かは良く知らんが、薩摩訛りがきつかった。」


そこまで言うと、ふう…。と一息ついた時雨。

先程の術は体力を大幅に奪うようだ。


「ーーで、だ。そいつらは“暮れ五つ、近江屋にて坂本龍馬を討つ。”と言っていた。近江屋とは何処だ?」


土地勘のない時雨は聞いたことのない店の名前に首を傾げた。


コンに聞くも首を横に振るだけだった。