幕末怪異聞録




こうして宿に戻った一同は、暫し休息していた。


「ーーコン。お前何処の出身だ?京ではなさそうだな。」


グッと背伸びをしながら時雨はチラッとコンを見た。


『うん、おいら江戸の出身だからな。』


「何故京に来た?」


『お父が京に行くから着いて来たんだ。』


「ほう……。そうだったのか……。」


時雨は窓を開け、外をぼんやり眺めた。


(ーー着いて来た……ねぇ…。)


何かきな臭いと考えを巡らすが、考えがまとまらなく、ありもしない仮説に辿り着いた時雨は、小さくため息をついたのだった。


(いけねぇな……。相手を疑う事が癖になっている…。)


考えを掻き消すかのように頭を振り、静かに目を閉じたのだった。



ゴタゴタ事にはもう巻き込まれまいと思っていた時雨だが、やはり京に来ると何かに巻き込まれてしまうのかと、つくづく自分の運命を恨むばかりだ。





そんな事を思っていたが、時雨はパチリと目を開けた。


「帰って来たぞ。」


その言葉と同時に窓から無数の紙人形が部屋に入って来たのだった。