幕末怪異聞録




二人は京観光として京の街ををゆっくり歩いていた。


そんな折に現れたのが一匹の妖だった。


それは幼く、まだ小さかった。


その小さな妖の視線に気付い時雨はニコッと笑い声をかけた。


「どうした?お前一人か?」


『おいら一人だ。』


「ん?そうか……。」


『おいらは、子狐のコン。あんたが半妖の時雨か?』


「テメェ!時雨になんっつー口の聞き方をーー!!」


「お前は黙ってろ。」


コンに食いかかる狼牙をなだめ(と言うか脅し)、時雨は再びコンに笑顔を向けながら、コンの頭を撫でた。


「私に何か用があるようだな?彼処の甘味屋に行って話でもするか?」


パシッ!


「ーー!!」


『ガキ扱いするな!!』


手を叩かれた時雨は些か面を食らったが、すぐに表情を戻し、頬を弛めた。


「すまなかった。男だものな。だが、茶くらいは一緒に飲んでもかまわんだろ?」


コンはチラリと甘味屋を見たあと、コクリと頷いた。


「では行くか。」


「なんでそんな奴と茶を飲むんだよ!!」


「嫌なら来んでかまんぞ。」


スタスタと歩いて行く時雨を狼牙は急いで追いかけたのだった。