幕末怪異聞録



そんな二人の反応を見てクスクスと笑った。


「これは鬘(カツラ)だよ!」


「「鬘!?」」


「京も治安が悪いし、黄金色の髪を晒してたらいつ尊攘派の浪士に斬られるか分かったもんじゃないからな。」


「怖い怖い。」と言わんばかりに顔をしかめ、両腕をさすった。


「それよか、あんたら二人だけなのか?平助は?いつも一緒に飲みに行ってただろう?」


隊服姿ではない二人は先程まで飲んでいたらしく、ほんのり頬が赤い。


時雨が屯所にいた頃には永倉、原田、それに加え藤堂も一緒に飲みに行っていた。


それが今日は二人だけである。


そんな時雨の疑問に二人は顔をしかめた。



「平助のやつ、御陵衛士に行っちまってよ…。新選組を抜けたんだ。」


そう言った原田の声は残念そうな、それでいて悔しそうな声だった。


「――御陵衛士…ね。」


聞いたことのない単語が出てきて時雨は小首を傾げた。