幕末怪異聞録




慶応三年十一月一日



時雨は何故かまた京へ戻っていた。



その訳が……



「時雨さんもっと飲むがじゃ!」


「うるせぇな。十分飲んでらぁ!」


坂本が日の本を離れるため、京で宴をしていた。


「龍馬と会えなくなるのか……。」


「俺も行くぞ?」


「中岡は別にいいんだよ!」


「龍馬ぁ~!」


坂本にガバッと抱きつく時雨はかなり酔っているようであった。


「そんなに儂と離れるんが寂しいっちゅうんなら一緒に“えげれす”に行くがか!?」


ニコーッと笑う坂本に時雨もニコーッと笑い返したかと思えば急に真顔に戻った。


「だぁれが“えげれす”なんぞに行くか!!
私は“ぼんじゅーる”なんて言わんぞ!」


フンッと腕を組む時雨に坂本は苦笑いをした。


「時雨さん、“ぼんじゅーる”は“ふらんす”ぜよ……。」