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「―――大政奉還……ね。」
時雨は境内の裏で手すりに座っていた。
ぼんやり空を眺めている理由は、先程参拝者の老婆に幕府が政権を朝廷に返上したことを聞いたためだ。
それに坂本が関わっていることにすぐさま気付いた時雨は胸騒ぎがしたのだ。
「嫌な予感しかしないが……。」
『関わるなよ?』
「――!!」
振り返るとアサツユがそこにいた。
また時雨がボロボロになるのではないかと身を案じていた。
それが分かった時雨は一つため息をついた。
「私は関わらんよ。私が関わると助かる命も消えるかもしれないしな。」
そう言って時雨はその場を去っていった。
その後ろ姿を眺めため息をついた。
『時子。』
「何だい。」
呼ばれたのは時雨の母である時子だった。



