幕末怪異聞録



「しかしまぁ、時雨も面倒な奴らに目を付けられたよね。」


事の経緯を狼牙から聞いていた沖田は腕を組んで言った。


「仕方がないさ。これも私の運命なんだろう…。」


そう言って目を細める時雨はどこか寂しそうで儚くもあり、脆く崩れそうだった。


大切なものを奪った仇を討ち、心が晴れるかと思いきや晴れることはなく、寧ろ仇の置き土産でまた心の休まる日が遠のいたのだ。


時雨自身、何を信じ、何を目指し、何処へ行けばよいのか分からなくなっているのだろう。


そんな見たことのない時雨を目の当たりにした沖田は、時雨の手をギュッと握った。


「そんな運命は僕が斬ってあげる。
時雨に立ちはだかる敵はみんな僕が斬ってやるから安心しなよ。」


おとぼけたように言ったが顔は真剣そのもので、そんな強い瞳に時雨は少しばかり救われた気がした。