幕末怪異聞録




「……御馳走様でした…。」


「はい、お粗末様!」


「いや、ほんとお粗末だよ……。」


「何か言った?」


「別にー。」


毒づきながらも時雨はお茶を啜った。

そんないつもと変わらない時雨に沖田は昨日の出来事が嘘だったんじゃないかと思ってしまった。


(屯所でお留守番してて、まさか満身創痍の時雨が来るとは思ってなかったな……。)


「いやいや、やっぱ嘘じゃないでしょ。」


「ん?何の話だよ?」


沖田の内なる一人ノリツッコミがそのまま言葉に出てしまった。


「いやね、昨日ズタボロで来たのに今ケロッと何もなかったようにしてるから、昨日の出来事は嘘だったんじゃないかと思っただけ。」


「あぁ、そうだよな…。

今、私は半分じゃなく完全に妖怪になっててね…。そのせいで治りが早い。」


そう言って自分の髪を指して「黄金色だろ?」と言った。