幕末怪異聞録




「―――土方か……。さらし持ってねぇか?」


「あ?さらし?そりゃ持ってるが……。て、お前怪我してんのか!?」


ここでやっと時雨が怪我をしていることに気付いた土方は、時雨のそばに駆け寄った。


そして血がついている左肩と、裂けている左腹の着物をめくった。



「―――!!」


「あんまり見んなよ。助平。」


「言ってる場合かど阿呆!!
熱も出てきてる……。とりあえず移動するぞ。」


そう言うと土方は時雨を抱きかかえ歩き出した。


土方はこの時怪我のことよりも色が変わり伸びた髪と、何よりただの人間の土方でも感じる強い妖気。


(―――こんなになるまで一体どんな無茶をしてきたんだ。この馬鹿女が……!)


それでも時雨が無茶をする理由なんて一つしか浮かばない。


「――犬っころ。こりゃ西沢の野郎とやったのか?」


「あぁ、ちょっと面倒なことになってね……。」


「そうかい……。」


土方はそれ以上口を開かなかった。