幕末怪異聞録



時雨は頭をかき、ため息をついた。


「じゃあ私を嫁にするだなんだと言う話は嘘だったのか?」


今の話では到底、夫を殺す理由が見つからなかった。


それを察したのか西沢はまた口を開いた。


『嫁にするつもりだった。側に置いておいて頃合いなればすぐに食える。探すのが面倒だからな。
だが、夫がいたのだ。殺してしまえばお前は仇を討ちに俺の前に現れる。だから殺してお前を転がしておいたのだ。
まぁ結局、お前は鈍くさかったから俺様が出向いたり、餌を用意しなければ食い付いて来なかったがな。』


それを聞いた瞬間何かが切れた。


「貴様ーー!!」


ガキン!!


西沢は折れた刀を捨て、違う刀を抜いた。


『流石に妖力が高まっただけある。前よりも力が強いな。だが――』


その瞬間、西沢の頭に角が生え、妖力が上がったのだ。