幕末怪異聞録




そこでやっと気付いた。


自分の妖力が今まで以上に上がって霊力が押し潰され零(ゼロ)になったのだ。


妖力の高まりが収まり、時雨はやっと立つことができた。


「――貴様何をした!!」


ブワッと風が吹いた。

それは紛れもなく時雨の妖気だった。


その風を受けながら西沢は満足気に笑みを浮かべた。


『クククッ……!素晴らしい!!
これでやっと俺の夢が叶う!!』


「夢…?」


何をされたのか分からず、夢だ何だと言われるのは実に不愉快だった。


そんな時雨の気持ちが伝わったのか西沢は時雨に顔を向けた。


『そうだな…。お前には告げてやろう。
今のお前は完全な妖怪だ。』


「……。」


(――そんなこと言われなくても分かってんだよ!)


と思わず食いかかっていきそうだったがグッと我慢した。