幕末怪異聞録




それから二刻程経ち、人は寝入り物の怪が活動をし出す頃


時雨と狼牙はまだ西沢ら長州を探していた。



「――ここら辺にいてもおかしくないんだがな……。」


「長州の奴ら、寝てんじゃないの?」


「そりゃ暮れ九つ(約0時)位だからな。寝てるだろうな。」


ザワッ……!


「―――!?」


誰もいるはずがないのに時雨は血が騒ぐ感じがした。


(やはり奴が近くにいるのか……。)


それを感じたのは時雨だけではなかった。


「時雨……。」


「お前も感じたのか。」


歩みを止めた二人。


たらりと嫌な汗が頬を伝った。



『―――やはり来たか。時雨。』


暗闇から現れたのは紛れもない、時雨の敵――


「西沢……。」


目をギラつかせる時雨に不敵な笑みを向ける西沢は、腰の物、“鬼尋坊”をスッと引き抜いたのだった。