幕末怪異聞録




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そのまま寺田屋を後にした時雨はとりあえず京の中心部へ向かった。


「時雨!どうすんだよ!」


「どうするも何も、動かないことには何も解決しないだろ?」


「……何も考えずに出て来たんだな。」


「いつものことじゃねぇか。」


クスクス笑う時雨と相反するように呆れ顔の狼牙。


前しか進しかないと言わんばかりに走る二人。


しかしそんな走る街並みに違和感を覚えた。


「―――何かおかしくねぇか?」


「え?」


何かが変だと時雨は足を止め、辺りを見回した。


「――人がいねぇ。」


日が暮れたとはいえ、まだ暮五つ(約20時)。人が寝入るには些か早い。


「長州がもう来てるってこと?」


「だろうな。」


時雨は「行くぞ。」と言ってまた走りだした。