ピッタリと土方に付き、顔を土方の耳元に近付けた。
そして、時雨はゆっくりと口を開いた。
「――歳三さん、朝になりんした。起きてください……。」
「んー……。まだ寝かせ……。
は、はぁぁああ!?」
「やっと起きたな……?
朝でござんすよ、歳三さん♪」
ニコッと笑って花魁言葉を話す時雨に、寝ぼけた頭で思わず反応した土方は、見る見るうちに眉間に皺を寄せた。
そんな土方を見て楽しんでいるのが時雨だ。
「早く起きろ寝坊助副長。
朝餉がもうできてんだ。早くしねぇとあんたの沢庵、私が全部食べるからな。」
言いたいこと全部言って、時雨は土方の部屋を後にした。
「……な、何なんだコノヤロー!!」
寝起きで頭が回らない土方は、状況について行けてなかった。
そんな土方がやっと朝餉を食べようとお膳を見ると、そこにあるはずの物がなくなっていたのだった。



