幕末怪異聞録



「小姑で悪かったな。」


「うっわ!聞こえてんのかよ!小姑の上に地獄耳だな。」


「……。それ以上言ってみろ?
傷がまた増えるぞ?」


そう言って拳を見せる土方に時雨は肩を竦ませた。


「あー怖い怖い……。
じゃあ総司、お大事にな。」


「うん、時雨もね。」


渋々ながら部屋を後にした時雨。

総司と話している土方の声が微かに聞こえてきたが、やはり小言を言っているようだった。


(……意外と心配性…と、言うより過保護だな。)


そんなことを思ったのだった。


永倉との勝負は邪魔が入り、決着をつけることができなかったが、時雨は


(あれだと私が勝っていたな。)


とほくそ笑んでいた。


しかし、永倉もまた然り……。


この二人の対決はお預けとなったのだった。