幕末怪異聞録



「……。行くか。」


「そうだな。」


あまり関わってはいけないと思い、そのまま通り過ぎた。


(一体なんだったんだ?)


近くの角を曲がったら、すぐに狼牙は大狼になり、空に姿を消したのだった。



その頃あの男二人はというと……



「ああ!おらんなっとるやないか!」


「やたらめったら人に声かけるんやない!」


「うるさいがじゃ……!
ほんに……以蔵は口うるさいのぅ……。」


「誰のために言っとると思っとるがか!?
龍馬はもっと自分の立場っちゅうんを理解――…」


「あー!
もう、分かったきに!」


“龍馬”“以蔵”と呼び合っていた男は、時雨のことなど特に気にも止めずに闇に姿を消したのだった。