幕末怪異聞録



「じゃあ私はもう行くよ。

脇差しありがとう。」


そう言って立ち上がると、父は寂しさと、心配が入り混じった何とも言えない間抜けな顔をしていた。


「時雨。」


「はい。」


「ある程度のことなら、母ちゃんからもらった葉橋丸(ハキョウマル)や、俺がやった脇差しの結界で凌げるが、どうしようもないときは誰かに助けを求めなさい。
新選組なり誰でもかまんから。」


「父さん……。」


「でも父さん、時雨が母ちゃんと暮らしてくれた方が嬉しいなー…。」


「はいはい。
事が全て終わったらね!」


そこで話を打ち切り、出て行く時雨に「気を付けてな。」と言う父の顔はやはり心配そうであった。


(親不孝者なんだろうか……?)


そう考えながらも時雨は笑顔で
「はい、いってきます。」


と出て行ったのだった。