幕末怪異聞録



その瞬間一気に部屋の空気が淀んだ。


「折れた……だぁ…?」


「……。」


(どうしよう……。折りたくて折ったわけじゃないのに…。)


ぐわっと眉間に皺を寄せ、今にも雷が落ちそうだ。


それにビビった狼牙が更なることを口走った。


「折ったのは西沢なんッスよ!!」


「こら!余計なこと言うな!」


「西沢?
時雨……あんなやつまだ追いかけてんのか?
あれほどやめろっつってんのに……。」


はぁ…。とため息をつく父は折れた太刀を受け取り、無造作に籠にささってる刀をガラガラ探っている。


時雨の父は所謂刀コレクターで、時雨はそれを当てに新たな“斬れる”刀を手にしようと訪れたのだった。


そして一つの刀を差し出された。


「これでええか?」


「……。

なんで脇差し?」



出されたのは太刀ではなく、脇差しであった。