幕末怪異聞録



ずどーーん!!


灰鐘の横に着地した男は、勢いが強すぎたのか、砂煙を上げていた。


「けほっ!けほっ!
普通に登場しろよ!冬兄(フユニィ)!」


『時雨ー!!
会いたかったぜー!!』


男はギューッと灰鐘に抱きついた。


「時雨、“それ”誰?」


少し驚いた顔を見せた沖田は疑問に思ったことを口にした。


灰鐘は抱きつかれたまま表情を変えずに


「これは私の兄の冬鬼(フユキ)。」


『兄の冬鬼です!時雨がお世話になってます!!』


ひょろーと背の高い冬鬼は、時雨を人形のように持っていた。


そんな様子に気づいたのか、土方と西沢の戦いは終わっていた。


更に言うと西沢は逃げていた。


「ほら、冬兄来たから西沢の馬鹿が逃げたよ?」


『何っ!!
今日こそはぶっ殺してやろうと思ったのに!』


話す内容は些か穏やかではなかった。