「優太。時間ないぞ早く」 ドラムの貴士がオレのギターを担ぐ。 「ゴメンみんな、ダッシュで戻るからさ」 そう言ってオレはライブハウスを出る。 ライブハウスの前に止めていた自転車にまたがり、思いっきりペダルを踏み込んだ。 10:05。 日曜の朝に引っ越すって言ってたよな。 いるのかなんて分かんないけど、オレはそこに行かなくちゃいけないと思った。 足が取れるんじゃないかってくらいにペダルを踏み込む、息がすぐに切れたけど休んでいる暇なんてない。 菜月さんオレは オレは――