*短編小説*花びらを胸に





ある日



子供たちの歌に耳を傾けていました。





『むかしむかしの言い伝え


春に咲く桃色の花に


胸に秘めた心をのせてごらん?


たとえどんな遠い場所にいる相手でも


あなたの想いは届くでしょう』






少女ははっとして、その辺りを見渡しました。


あたりは一面の雪。



どこに桃色の花があるのでしょうか?





そう




季節は今、冬だったのです…―――――。