すると男は氾濫で茶色くなった水に飛び込んだのです。




少女は後悔しました。



自分が助けてもらおうと言葉を紡いだために、あの人が危険にさらされてしまうことを…――――。



でも、もう遅いのです。




彼は必死に泳いでいました。



昔から、彼は体力だけには自信があると言って笑っていました。



――――…嫌。



『やめて…』




少女は涙を流していました。




――――…これ以上私の近くに来たら、貴方が死んでしまうっ!




自分の命よりもそれ以上に彼の命が大事でした。



だから、止めたはずなのに…




『ダメだっ!生きろっ!』




そう彼の目が少女に訴えかけていました。



必死になって…泥水を喉に含ませ…



それでも彼は助けたい愛する少女を見ていました