それはむかし




川のほとりに小さな家がありました。



そこに住む少女はとても綺麗で村の男たちは彼女を好いていました。





国の王も隣の王もみんながみんな少女に恋文を送りました…





少女の手には手紙の束

それを封も開けずに一枚一枚暖炉の炎へと放ちました。




少女にはそれらの内容は見るまでもなく分かり切っていたのです。




最後の一枚を炎に注ぎ、それが消えてなくなってしまうまで少女はゆらゆらと揺れる炎を見つめていました。




そして美しすぎる瞳から一粒の涙を流し、そっと呟きました。





『私はあの人以外、好きにはなれない…』