「………………坂原…。」


雨の中待つ坂原の姿が頭を過ぎった。



『俺は、漣の力になりたい。理由はそれだけじゃ駄目?』



「…………っ!!」



気付いたら走り出していた。ありえない…。ありえないのは分かってるから…。


バシャッ、バシャッ


「…はぁっ……はぁっ…。」


傘もささずに走った。雨なんか気にしない。いなくたって構わない。ただ……。そうせずにはいられなかった。


暗いせいで何も見えない。


「どうして…こんな時に!!」



街灯を頼りに走る。川原まではそう遠くない。道さえ覚えていれば行ける。




「…はぁっ……嘘っ…。」


川原まで来ると、街灯のすぐ下に人影が見えた。走りながら自分の口元を押さえる。