静まり返る廊下を、1人で歩く。



みんなは授業中…か…。


教室を見ながら廊下を進んでいると、陽のクラスの前まで来た。



陽の姿を探しながら、ゆっくりと歩く。



「…えっ………。」



陽を見つけた。見つけた所までは良かったのだが、驚く可き事に目が合ってしまったのだ。



あたしと陽はしばらく見つめ合う。足も歩みを止め、互いに見つめている。



「…陽………。」



あたしは慌てて目線を逸らし、足早にその場を去った。



ガラガラガラ…ピシャンッ



図書室に入ってすぐに、扉を閉めた。



「……………はぁ…。」



姿を見ただけでこんなに動揺してるんじゃ、いつまで経っても忘れられないよね。



その度に実感する。あたしが陽を好きだって事…。



あたしはもう1つ小さなため息をついて、席につく。


あたしは目が見えているうちに、点字の勉強をし始めた。これから絶対に必要になってくるから…。



それに、通訳の夢も諦めていない。あたしにはまだ、耳があるから。



諦めさえしなければ…絶対に大丈夫。