「…大好きだったよ…陽…。」



涙がボロボロと溢れては、地面に染みを作る。



手に握っていた片翼のペンダントを見つめる。



「飛べなくなっちゃったね…。」



ペンダントの上に涙が落ちる。



「…うぅっ…ふっ…ぐすっ…。」



ペンダントを抱きしめてうずくまる。



もう……さよならだ…。こんなに辛いなら…出会わなければ良かったのかもしれないね…。



いや…違う…。陽だったから…こんなに辛いんだ。



「ばいばい…ありがとう…。大好きでした……。」



ペンダントに笑顔を浮かべて立ち上がる。



あたしも…前に進まなくちゃ……。



ガタンッ



すると突然、前の棚から、物音がした。



慌ててそっちに視線を向けると、気まずそうな顔をした男子生徒と目が合った。


まさか……見られてた…?



あたしは慌ててペンダントをポッケに入れて、図書室を飛び出した。



ガラガラガラッ…ピシャンッ




「………逃げられた…?」



その男子生徒は、苦笑いを浮かべながら本棚から出た。



「悪気は無かったんだけど。」



たまたまだ。たまたま昼寝していたら、こういう展開になっていたのだ。



「俺も帰るか…。」



そう言って図書室の扉に手をかける。



キラッ



床に落ちている何かが光った。それを手に取り見つめる。



「…これ…あいつの…。」


片翼のペンダントを見つめながら、先程の少女を思い出す。



「…何だかな……。」



少女の泣き顔が、頭から離れない。



ペンダントを握りしめ、彼は図書室を出て行ったのだった。