陽の足跡が遠ざかると、教室に金宮さんが入って来た。
「…………っ………。」
何も言えず泣いていると、金宮さんが鼻で笑ったのが分かった。
「あーあ…。可哀相に。」
金宮さんの言葉に、胸が締め付けられる。
「これで分かったでしょ?坂原は、別にあんたが好きで付き合ってるんじゃないの。」
可哀相…だから……。あたしが病気だから…。
「…うっ……ぐすっ……。」
知りたくなかった…。知らなければ…幸せだった…。
「もう坂原を離してあげてよ。あんたの巻き添えにしないで。」
巻き添え…。次々と胸に痛みが走る。まるで、鋭利な刃物で何度も突き刺されているように…。
「……………………。」
黙り込むあたしに苛ついたのか、金宮さんは近くの机を蹴っ飛ばした。
ガタンッ!!
その音に、ビクッと肩を震わせる。
「別れろよ。分かった?じゃあ、そういう事だから。」
ガラガラガラッ…ピシャンッ
それだけ言い残し、金宮さんは教室を出て行った。