「あなたの名前は何ですか?」 先生は、あたしと目線を合わせるようにして屈んだ。 名前……?あたしの名前は…。 「漣 幸です。」 どうしてそんな事聞くの? 「此処にいる人達の中に、知らない人はいますか?」 そんなの……。知らない人ばっかりだよ。あたしは此処にいる人達全員知らない。 「全員知らない。」 あたしの言葉に、その場の全員が息を呑んだ。 「やっぱり……。間違いなさそうですね。」 そう言って先生は立ち上がる。