「柚ちゃん…ごめんね…。柚ちゃんに幸せがどうとか言ったくせに、お姉ちゃん…もう………。」



涙が出そうだ。あたしには…鮎沢さんに命がどうとかいう資格も、柚ちゃんに幸せがどうとか言う資格は無い。


あたしはこれから…逃げるのだから…。



この世界から…病気から…運命から…。



「お姉ちゃん??」



不思議そうにあたしを見上げる柚ちゃんの頭を、優しく撫でた。



「柚ちゃん……バイバイ…。」




そのままあたしは走り出した。柚ちゃんの顔も見ずに。