たくさんの選手で賑わう会場なのに 私には何の音も届かない。 目の前のエントリー表の 一点を見つめたまま しばらく時間が過ぎた。 「美羽?」 「……ぁ、え?」 「どしたの?コートに移動だよ?」 「あ、開会式だよね…」 定例どおりと思われる進行で 開会式は流れていった。 星葉の横列には 同じ区の雅が丘高校が並んだ。 左右を見渡し 皇陽台の選手団を探したが 離れているようだ。 (…あとで見に行ってみようかな) (でも…どうしよう……会っても…)