“それ”を疑問に思った月花に最初にそれを告げた時、月花は怒り悲しんだ。

まるでオレの代わりのように。でもそれで良いのだ。これしか方法がなかったのだから。

雪が三日間の眠りから覚めた日には雪にもその事実を話した。雪も月花と同じように怒り悲しんだ。


「方法がそれしかなかったとはいえ、海理様は辛くないんですか!?」

「どんな万能な物にも欠点はある。滅多に採取出来なかったり、常人が飲めば猛毒だったり……そして」



最低でも呪いにかかった期間の倍は眠り続けたり。



それをババ様から知らされた時、永遠の眠りじゃなければ問題はないと思った。

だからあまり辛くはなかったのだが……。

よく考えてみれば、すぐに果たす事の出来る筈だった約束が果たせなくなってしまった。

秋桜はもう枯れる準備に入っているだろう。彩十にそれを見せてやりたかった。

せめて眠りに就く前に。それだけが悔やまれる。