そして、ジンがスッと立ち上がりバトンゾーンで待機を始めた。

トップは未だに白組。


少し差があいて、紅組は2位を走ってる。

そのすぐ後ろに別組の紅組、そしてもう一つの白組という順位だった。



「おい、美織。しつこく言うけど、お前コケんなよ?」

「…転ばない!ジンこそ転ばないでよね」

「あー、どうかな~。お前にお守りやっちゃったしなー」



ジンは以前と同じく、いたずらっ子の笑みで私に向かってそう言った。

私はそれだけでも涙がじわっと浮かんできてしまう。


そんな言葉を交わしてる間に、トップの白組が走者である近藤里美がきた。

バトンを受けて白組がスタートしていく。



「ジン、がんば…」


頑張ってって言おうとしたけれど…


「じんや、本気で走ったら承知しないからね」

「うっせーな。白組のお前に言われたくねーよ」



近藤里美に阻まれて言えなかった。