「失礼な事言わないでよっ!私は転ばないし!」

「オレがせっかく1位で来てもお前で台無しになりそうだよな」

「だから、そんな事…」



言い返そうとしたら、ジンは手首に巻いていた紅いハチマキをシュルッとはずして私の腕に巻きつけた。



「仕方ないからそれやるよ。コケないお守り」

「…ジン…」



…どうして…?


一方的に突き放しておいて、急にどうして優しくするの…?



入場の合図がきて、ジンは前を向いてしまった。



ジンの背中を見つめながら、私は心の中で何度も問いかける。




絶対に転ばない…。

だって、私はジンの気持ちをつかまえるために走り続けなきゃいけないもの…。