バカみたい。
やっぱり、あきらめるなんて無理に決まってる。
当たり前の事をしただけでも、ドキドキしちゃうんだもん。
…私が1年遅く生まれてたら、こんな事なかったかもしれないのにね…。
「美織、しっかりねっ!」
「…うん…」
体育祭はいよいよラストの競技を迎える。
紅白対抗リレー。
彩乃はグッとこぶしを作って私の背中をポンと押した。
「転ぶなよー。転んだら笑ってやるよ」
「…うっさいな」
入退場門へ移動する途中、貴昭にからかわれた。
ジンはすでに移動しているようだ。
深呼吸をすると、私は入退場門へと急いだ。



