15歳のラビリンス



ジンはスタートの構えをした。

先にゴールしている仲間達から冷やかしの声が飛んできてる。

その声が耳に入ってるのか入ってないのか…


ジンはジッと前を見つめてスタートの合図を待っていた。


パンという乾いたピストルの音と同時にジンはスタートを切る。

本当に一瞬の出来事だった。


瞬きをする事を忘れるほどのジンの綺麗なフォームに私は思わず椅子から立ち上がる。


さっき貴昭が手を抜いた最終コーナーをまわっても、ジンのスピードが落ちる事はなかった。

彼は手を抜く事無く、そのまま風を切って、トップでゴールテープを切った。



「ちょ、何アレ!仁哉のくせに何1位なんかとっちゃってんのっ?!」



彩乃の声で我に返る私。



ジンの走る姿なんて見慣れてたはずなのに、見入ってしまった。



すごいドキドキしてる。

ただ、走ってる姿を見てただけなのに。