―――僕達は町に帰ってきた。
ここまで戻ってくる途中、メディアを通して状況を確認したが警察は動く気配が無い。
長期戦にするつもりだろう。
要求もなく、ただTVで訴える『R』のボス(椿十郎)。

「ナナミ、ここからは危険だ。
ナナミは家に帰ったほうがいい」

「大丈夫。私も一緒に行く」

「ダメだ」


僕の一言でナナミは下を向いてしまった。


「ごめん。でも危険なんだ。
伊藤に続いてナナミにまで危険な思いをしてほしくないんだ」


しばらく僕達は無言になった。

分かってほしかった。

僕は『超越者』の姿を見られたくなかったからだ。


「わかった」

「ありがとう」

「でも行く前に少しだけ待って………」

「なんで………」

「どんな可能性があるか、聞いてほしいから………」

ナナミは首に付けているアクセサリーを取ろうとした。

僕はナナミの手を掴んだ。


「いいんだ。過程や可能性が全てじゃないんだ………
結果が全てなんだ。
僕は何があっても必ずナナミに会いに行く。
僕を信じてくれ」


ナナミはアクセサリーから手を離した。


「ありがとう。言ってくる」


ナナミはただ頷いた。
僕は現場まで走った。
ナナミを置いて………