Infinite Information

アカネが来ると周囲の雰囲気が変わった。


「辻本だ…」

「本当だ…」


皆がこんな反応をするのはわかっていた。
この『ヘブン』内の影の権力者の一人。
それなのにメディア等では名前しか書かれない。
『辻本アカネ』の名前は知っていても、姿はわからない。
皆も『W』六代目総長がアカネなのは知っていたけれども、このクラス会に姿を現すとは思ってもいなかった。


「ヨシト」


アカネの呼び声と共にヨシトさんが現れた。


「部下をここで撤収させて」

「わかりました」


ヨシトが大声で「ボスの命令だ。撤収――――」と言った。

先ほど聞こえた足音と同じ音がしていた。

しばらくすると音は止んだ。


「ボス、部下は全て撤収させました」

「ヨシト、あなたも消えなさい」

「俺は秘書だ。
ボスの仕事が終わるまでが俺の仕事だ」


アカネはヨシトさんを無視した。

アカネが歩きだすと皆も一歩下がった。

突然、私の視界からアカネが消えた。

私の目の前に現れた。