Infinite Information

「ちょっと待てよ。
短すぎるだろ。
それに切るってなんだよ」

「この施設はサーバへのアクセスが不可能なシステムになっているの。
私が持つ『鍵』で開けているときだけ、サーバ内に入れる仕組みになっているのよ」

「それじゃあ、どうやって仕事をしているんだ」

「サーバはこの施設の制御を自動で行っているの。
部下の仕事は現地の状況を連絡し合うことよ。
無線は一般のものとは違い、不規則に周波数が変化するから、現地の部下にもそれと同じ無線機を持っているの」

「盗聴防止ってやつか」

「そうよ。
仮に渡された部下以外が使用した場合は音声でメインサーバが判断して、その無線機との連絡を停止する仕組みよ」

「俺の持つ無線機と同じ機能か…」


俺が伊藤から渡されたものもそれと似ていた。
この無線機は通信し始めに持ち主が出て、そのあとにほかの者が話し始めれば機能するが、仮に本人以外が始めに出れば、通信不能になる。


「このシステムにしているのはどうしてだ」

「サーバは完璧なものよ。
ほかの人が触らなければ異常は起きない。
最新のものと言って、定期的にシステムを更新し続ければいづれは支障が起こる。
私は機能よりも安全重視だから」

「確かにな。サーバを誰も触らないことが一番の安全だ」

「定期的にシステムを触るほうがどうかしている。
完璧な装置にそれ以上のことをしても危険なだけよ。
昔はシステムへのアクセスを不可能だったけど、現在はシステムを触れるように改善しているの。
一応、トラブルがある場合に備えてね」


辻本の話は正論だった。
機能を重視するからシステムトラブルが起こるのだ。
いじらないことがこういう装置としてはいいのかもしれない。
だが、一つだけ疑問があった。