カウンターに座り、カクテルを一杯マスターに頼んだ。


「マスター、ここら辺で情報屋をやっている奴はいるかぃ」

「…」

俺はポケットの中から札を一枚出し、カウンターに置いた。
マスターは何も言わずに手を伸ばし、札を胸ポケットにしまった。


「アックって奴がいる」

「そいつと連絡を取りたいんだが」


マスターはカクテルを俺の前に出した。
俺はまたポケットから札を出し、マスターが札をポケットに入れた。


「お客さんの隣に居るやつがアックだ」


そういうとマスターは首を振った。
俺はマスターの首の振った位置を見ると男が一人座っていた。


今まで気づかなかった。
いいや、今までいなかったのだろう。


俺が周囲のことを把握できないなんてことはありえないからだ。


「アンタがアックかぃ」

「…」

「アンタから情報を買いたいんだが…」

「情報か…どんな情報だ」

「今日の軍施設破壊班が誰の仕業なのかを知りたい」

「そうか…俺の情報は高いぞ」

「金ならある。いくらだ」

「一千万だ」


高いな…
俺はアックを見た。


「高すぎないか」


「最新情報だ。
軍が今一番知りたい情報だ」

「困ったな…
それじゃあ、前金だけ払って、聞いた後に残りを話すのはダメか」

「ダメだ」


俺はため息をついた。


情報は貴重だ。
確かに情報は高く売れるが、買う方からしたら高いものだ。
伊藤と契約した書類を書き直したいと思うことが何度もあった。