不安な気持ちで日曜日を過ごし、
月曜日の放課後。

暗室で待っていたけれど
矢沢先輩は来なかった。

背筋が寒くなるような、
いやな予感がする。

「千里、どうかした?」

春樹が私に声をかける。

「矢沢先輩と約束してた。
今日、暗室に来るって」

ポケットの中の
ハンカチに包まれたボタンを
握り締める。

「もうHRは終わってるだろうけど。
友達と話でもしてるんじゃない?」

何気ない感じでそう言って、
私の顔を見た春樹は、

「おい、大丈夫か?」

と、表情を変えた。

「私、矢沢先輩の教室に行ってくる」

いてもたってもいられなくなって、
私は暗室を出て行った。