矢沢先輩と待ち合わせしている
駅前のマックに行くと、
先輩はもう席に座っていた。

イヤホンで音楽を聴きながら、
ジュースを飲んでいる。

「何聴いてるんですか?」

アイスコーヒーを買って、
矢沢先輩の前に座る。

先輩はちょっとこっちを見て、

「BOØWY。聴く?」

と言って、イヤホンを外す。

トレイをテーブルに置いて、
イヤホンを受け取る。

耳につけた途端、
爆発音みたいな歌声が響いて、
慌ててイヤホンをはずす。

矢沢先輩がわざと
ボリュームを上げたようで、
ウォークマンを持ってニヤニヤしている。

「……耳が痛いです」

先輩が耐えられないように笑い出す。
全然面白くないので
ふてくされていたら、

「これ、預かってくれないかな」

と言って、
私の手に小さな何かを乗せた。