机のそばのコルクボードには
中三の夏、三人で海に行った時の
写真が数枚貼ってある。

春樹がカメラを持っていたので、
ほとんどは私と優にいちゃんの
水着姿の写真。
一枚だけセルフタイマーで撮影した
三人一緒の写真がある。
海をバックにして、
春樹と優にいちゃんに挟まれている私。

この時は、こんな夏が
永遠に続くのだと思っていた。

二段ベッドの下の段に座る。
下段は春樹のベッドのはずだ。

「あれ?」

紺色のシーツの隙間に、
定期入れが挟んであるのを見つける。
春樹がいつも使っている
茶色い合皮のものとは違う、
青いビニールの定期入れ。

なんとなく拾い上げると、
中に私の写真が入っていた。
水着姿の私が膝まで海に入っている。
後ろ姿で、顔だけ少し振り返っている。

「わあああっっ!!」

部屋に戻ってきた春樹が、
クリーニングキットを床に落とす。
私の所まで走ってきて、
定期入れを奪い取り、
自分のベッドに突っ伏す。