最近良いお天気が続いていて、
冬用の制服だと少し暑い。

矢沢先輩と付き合いだして
半月が過ぎようとしていた。

私の不安をよそに、
矢沢先輩はとても優しかったし、
春樹とは何事も無かったかのように、
仲良くできていた。

このまま全てがうまくいくような、
そんな予感がしていた。


部活が終わって、優にいちゃんのいる、
美術部の部室に顔を出す。
美術室を覗き込んでいると、
女の人が近づいてきた。

「何か用?」

「あの、吉野優一先輩を……」

キレイな人だった。
前髪が長めのショートカットから、
切れ長の目が覗いている。
油絵の具で汚れた、
白いエプロンをつけている。
私のことを品定めするように見ている。